花粉症でお困りの方へ
花粉症は、アレルギー性鼻炎の一種で、特に植物の花粉が原因となってくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの症状を起します。冬から春にかけてのスギ・ヒノキの花粉が有名ですが、アレルギーを引き起こす植物はスギ・ヒノキ以外にもたくさんあります。
春から秋頃にかけて、目のかゆみやくしゃみ、鼻水など、花粉症の症状が出たら、その原因は「草本花粉」かもしれません。
草本花粉とは、イネ科やキク科などの、いわゆる雑草の花粉です。これらの草本植物は丈が低く、スギやヒノキなどように高い木から風にのって数10kmも飛散することはありませんが、逆にどこにでもある雑草であることから、日常生活の中で気づかぬうちに症状が出てしまうことがあります。
草本花粉での症状の原因となる植物
イネ科の植物
カモガヤ、オオアワガエリ など
イネ科の植物は、スギ・ヒノキと同じような鼻の症状、目の症状に加え、皮膚のかゆみなど全身症状が出やすいことが特徴です。どちらも花粉の飛散時期は5月~8月頃で、夏の花粉症の代表格となっています。
キク科の植物
ヨモギ、ブタクサ など
キク科の植物が原因の場合は、同じくスギ・ヒノキなどのように鼻や目の症状が起こります。特に、ブタクサはどこにでもあるので注意が必要です。
花粉症の治療方法
花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎は、治療を始める前にアレルギーの原因(アレルゲン)を特定し回避することで、症状を軽くすることができます。診察では、問診・鼻鏡検査・血液検査を行います。その上で、花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎の治療は、抗原回避と薬物療法を中心に行います。
内服薬 ~ 早めに飲み始めると効果的です! ~
一般的に花粉症治療に用いられている第2世代抗ヒスタミン薬(一般的にアレルギーのお薬と言われているもの)をスギ花粉の飛散が開始する2週間前(症状の出る前)から飲み始めます。症状が出てから薬を飲み始めるのに比べて、症状が軽くすむことが多いとのデータが出ています。特に鼻汁、くしゃみが強いタイプの人に効果的です。
スギ花粉の飛散開始は、「一測定点で、1月以降にスライドガラスの1平方センチメートル内にスギ花粉が1個以上捕集される日が、原則として2日以上続いた最初の日とする」とされています。これはその年の1月の最高気温を毎日足していった値によるとされており350℃~400℃に達した時が目安になるとされています。では、いつごろ花粉の飛散が開始するかというと、過去のデータから、東京都の場合は2月5日~20日の間ぐらいです。年によって2週間程度の差があるため、東京都の場合は1月下旬から予防的に薬を飲み始めると良いでしょう。
鼻スプレー ~重症の人や鼻づまりが強い人は内服薬との併用が効果的です!~
最近、予防効果が明らかになってきているものに、局所ステロイドスプレーがあります。効果が強く副作用が少ないため、症状が強く出る人や鼻づまりが強い人には、内服薬に加えて局所ステロイド薬のスプレーを併用します。局所ステロイド薬のスプレーは、ステロイドの内服薬と違い使用量がごく微量で体に吸収されにくいため、安心して使用して頂けます。
その他の治療 ~舌下免疫療法・手術療法など~
舌下免疫療法とは1日1回毎日薬を服用し続けることでアレルギー症状を改善させる治療です。長期にわたり続ける必要がありますが、症状をおさえる効果が期待できます。
スギは開始できる時期が6-11月となります。ダニはいつでも可能です。鼻の中がわん曲していたり、腫れがひどい方の場合は手術治療も有効な場合があります。
近隣病院やご希望のある病院がありましたら責任をもって紹介をさせていただきます。これらの治療法も選択肢に入れて最適な治療法を考えていきます。
花粉症対策について
外出時には、マスクや帽子を着用
花粉の吸引を最小限に抑えるためのマスクや、髪に花粉をつきにくくするための帽子を身に着けて外出しましょう。フリースなどの花粉がつきやすい素材の服は避け、家に入る前に体の花粉をよく払うことも効果的です。
洗濯物は家の中に干す
花粉が多い日は、洗濯物を屋外に干すのを避けましょう。外に干した洗濯物は、花粉をよく払ってから取り込みましょう。
こまめな掃除と空気清浄機の活用
どんなに気をつけても、家の中の花粉をゼロにすることはできません。こまめに掃除機をかけ、家の中に花粉がたまらないように注意しましょう。また、ほこり・ダニ・花粉の除去が可能な空気清浄機を使用することも効果的です。
バランスの良い食事を摂り、よく眠る
花粉症は、アレルギー症状です。ストレスがたまっていたり、体が疲れていたりすると、アレルギーが出やすくなります。栄養のある食事を摂り、睡眠をしっかり取って体を十分に休め、健康な状態を保つことが大切です。
花粉症治療について、院長からのアドバイス
つらい花粉症。
例年本当につらそうな患者様がたくさんいらっしゃいます。
限られた時間で話しきれないですが、院長が考えている大切な内容、当院の治療方針です。ご参考になればと思います。少しでも楽に過ごせますように。
1:アレルゲンを知ること~~(原因は?)
花粉症なので治療してほしい。と来院される方の血液検査をすると、アレルゲンがスギ花粉だけの方はむしろ少数です。花粉症と思っていても、スギ以外のアレルギーが主であることも多々あると言うことです。
「もらった薬が効かない」「花粉対策をしっかりやっていて、薬も飲んでいるのによくならない!!」と来院される方も多いですが、改めて検査を行いご自身の症状を起こす原因を正確に把握することが重要です。
(たとえば、スギだと思っていたらイヌを飼っていてイヌのアレルギーももっていた!などということです)
アレルゲンを知り、なるべく回避すれば症状は軽くなります。
2:病院で薬の相談をすること~~(どんな薬があうの?)
耳鼻咽喉科では、鼻の中の診察を行います。鼻の中がわん曲していて狭い方もいらっしゃいますし、ぱんぱんに腫れて詰まっていたり、ただただ滝のように鼻水が垂れてきている人もいらっしゃいます。
一度耳鼻咽喉科を受診し、どんな症状がつらいのか医師に伝え、
医師に鼻の中を実際に診てもらって薬を選択してもらうとよいでしょう。
「鼻水くしゃみ」を抑えるのが得意な薬と、「鼻づまり」を改善する薬は若干異なります。
市販薬も悪くはないと思いますが、上に書いた理由で、飲んでいても全く効かないと言うことはしばしば経験します。
また、一般的に市販の点鼻薬を連用すると最終的には鼻づまりが悪化します。可能な限り早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。薬以外の治療法も含め、自分にはどんな治療が合うのかを相談することをおすすめします。
3:薬の内容・効果を把握すること~~(飲めて、効果があった?)
忙しくて病院にいけず、つらくなって受診する方も多いですが、「去年もらった薬はよかった(または効かなかった)けど、なんて言う薬か覚えていない」や、「とにかく薬で眠かったけど名前は忘れた」、ですと治療が振り出しに戻ってしまいます。
せっかく病院で処方されているのですから、せめてきちんと服用し効果を把握した上で、効かなければきちんと医師に伝えるようおすすめします。
効かない理由が何なのか一緒に考えてもらえるといいですね。
副作用で眠気、が有名な薬も多いですが、それ以前に花粉症のつらい方は睡眠も浅く寝苦しい状態が連日続くこともあります。
花粉症で昼間に眠気が出ることもあるので、きちんと病院で診察を受けられることをおすすめします。
また副作用で眠気は出ない薬もありますが、それでも眠いという方がいらっしゃいますので、やはり花粉症による眠気 は症状としてなるべく抑えたいところですね。
4:少しだけ早めに内服を開始すること。~~(初期療法のススメ)
飛散開始は例年およそ2月10日から中旬頃です(バレンタインデー前後)
症状の強い方は、花粉が飛び始めると病院に行く時間もないまま一気に症状が悪化します。例年このような方が多いです。
そのため「1週間ほど前」からの内服(初期療法)が勧められています。
初期治療は、 症状のピークを「抑え」、発症を「遅らせ」、症状「終了を早める」と言われています。
5:季節が始まってしまってもあきらめずに!
~少しでも早く受診することをおすすめします。
ピークは3月上旬(遅くともホワイトデー前後)には強いピークを迎えます。
きちんと検査をして、花粉症(またはほかのアレルギーの合併)と診断されたうえで、適切な薬・治療を医師と一緒に探し、来年からはもっと楽に過ごせるようにアドバイスできたらと思っています。